
札幌都心の都市型水族館「AOAO SAPPORO」が挑んだ「新しい水族館体験」! 低コスト・スムーズ・使いやすい、の三拍子を実現したAOAOオリジナルのチケットシステムとは?
ソリューション
2023年夏、札幌市に新たに誕生した水族館「AOAO SAPPORO」様では、スムーズな入場の実現にこだわり、日時指定電子チケットシステム「ウラカタチケット」と入場管理システムを導入しました。コストとやりたいことの実現にこだわったシステムを組み上げ、開業以降もトラブルなくお客様を迎えています。取り組みの背景や今後の期待について、「AOAO SAPPORO(アオアオ サッポロ)」を運営する株式会社 青々 加藤様、中山様にお話を伺いました。
今回のDXで実現した効果
- チケットシステム導入・運用費を大幅削減
- WEBチケット販売比率を約2-3割に
- 平日平均5~10分のチケット購入待機時間をWEB化で0に
- 物販、飲食を含めた締め作業を簡素化
- マーケティング活用に向けた顧客データ取得を可能に
190万人が暮らす札幌市。地域の方が日常使いできる、新しい都市型水族館が誕生
-「AOAO SAPPORO」について教えてください。
(中山様)
AOAO SAPPOROは、2023年7月にグランドオープンした複合施設「moyuk SAPPORO(モユクサッポロ)」内にある水族館です。札幌駅前通と狸小路商店街、さっぽろ地下街に直結する、アクセスの良さを誇ります。
AOAO SAPPOROは「生命のワンダー 〜みえないものがみえてくる〜」をテーマに都市部で水辺の生物と出会える「まちなかにある自然への入り口」であることを特徴としています。 営業時間は10~22時、館内にはカフェバーやコワーキングスペースを備えるなどし、日常使いができる水族館として年間100万人の方にお越しいただけるように運営しています。
-moyuk SAPPORO、その中でも水族館のオープンは特に注目されていましたね。
(加藤様)
moyuk SAPPOROは札幌市中心部の再開発事業として建設されました。駅からアクセスが良く、また北海道最大の商店街にオープンするランドマーク施設として、札幌の街に新たな賑わいを生み出すことを期待されています。
体験が重視される時代、観光客だけではなく地域の方々にも来てもらえるような目玉施設として水族館のオープンには大きな期待を寄せていただきました。
-入館チケットの販売や入場に関して、当社システムを採用いただきました。検討に当たって重視していた点を教えてください。
(加藤様)
パッケージ化されたシステムに大きな予算を投資するのではなく、コストは抑えながら、自分たちもお客様も使いやすいシステムを組むことを目指して、さまざまなサービスを私たち自身で調査したり、各社からお話を伺ったりしました。
都市型水族館として「新しい水族館体験」を提供するため、チケットシステムも既存のパッケージ製品から考えるのではなく、実現したいことを第一にゼロベースで検討を開始したためです。開発予算については、お客様に楽しんでいただく展示や演出により多く充てることが方針にある中、顧客体験の観点からシステムにて実現したいこととして、実現したいデザイン、マーケティングに活用できるデータの蓄積などをやりたいと考えていました。
-当社を採用いただいたポイントを教えてください。
(加藤様)
コスト、データ連携などについて柔軟に対応していただいたことです。今回アソビュー社のシステムに他システムを組み合わせましたが、それでもパッケージ型商品の導入に比べると、格段に導入費用を抑えることができました。
また、多数の施設と組んで実績を出している一定の安定感と、その一方、個別のリクエストにも向き合っていただける柔軟さを兼ね備えていることは大きなポイントでした。
システムは施設での体験を支えるインフラ機能と考えているため、導入当初だけでなく、その後も末永くお付き合いできるような体制をもつ企業と組みたいと考え、アソビュー社と取り組みを進めさせていただきました。
低コストでも高品質で各リクエストに対応するシステムを設計。現地でも負荷が少ないオペレーションを実現
-開業から2ヵ月以上が経ちますが、システム導入に対するご評価を教えてください。
(中山様)
実をいうと、新規開業なので、「システムが負荷に耐えられるだろうか」「設計したものが使いこなせなかったらどうしよう」と不安を拭い切れませんでした。しかし、「お客様に良い体験をしていただく」ことを目標に運営している中で、細かくサポートいただき、無事にチケットを売り出し、今日まで大きなトラブルなく開業2ヶ月間で約23万人のお客様をお迎えすることができました。
そう遠くない時期に展開する可能性のある料金体系への拡張性や日付指定のない招待券タイプのチケット発券など、細かなリクエストを多数上げていましたが、担当者に要件整理の上で積極的に提案してもらい、しっかりこちらの要望を実現してもらいました。
オペレーションの部分でも、アソビュー社を採用して良かったと思っています。というのも累計約4,000施設以上の導入実績があることが幸いし、オペレーション設計にあたっては他施設での経験をもつスタッフの知見を借りることができました。アソビュー社の採用を決めたときには想定していなかった出来事ではありますが、新規開業という最もオペレーションが大変なときをやりきることにもつながりました。
-当初目標としていた「スムーズな入場」には貢献できていますでしょうか。
(中山様)
動線の問題で、有人窓口に立ち寄られる方もいらっしゃるのですが、事前にWEBチケットを購入し、ご自身で入場いただける際はスムーズです。券売機で購入される場合、時間帯によっては平日でも5~10分は並んでいただく必要があるので、それに比べるとWEBチケットの事前購入者はスムーズに入場いただいていると思います。
現状、WEBチケットの比率は全体の2~3割ほどですが、今後目標とする4割を目指して伸ばしていきたいと思っています。地域の特性か「事前にチケット購入をして来館される」というケースがまだ少ないのですが、私たちも「事前にチケット購入の上で来館してください」と事前告知が十分にできていませんでした。その結果が、今の数字につながっていると考えています。
来場予定人数の可視化、よりスムーズな入場ができる環境の構築を目指して、アソビュー社からの知見やアドバイスを得ながら、今後WEBチケットの比率を伸ばすべく取り組んでいきます。
-次に業務効率削減の観点で、ご評価を教えてください。
(中山様)
WEBチケットを事前購入し来館されるお客様については、「チケットをご購入の方はそのままお進みください」とお声がけし、エントランスでQRコードを読み込むだけで来館受付が完了します。入館案内に必要最低限のスタッフとオペレーションで対応可能であり、繁閑に対応するスタッフ配置数も変動が小さく、WEBチケット導入の手ごたえを感じています。
-集計・精算業務はどのようにされていますか。
(中山様)
チケットの着券枚数と人数、未使用チケットなどを集計し、日報にまとめています。一般的に、チケット売上はWEB、券売機、窓口、それぞれの販売分を各システムで集計する必要がありますが、当館ではシステムを1つに集約しているため、1画面の確認で集計できます。
ショップとカフェの売上はそれぞれ別のシステムで管理していますが、全体でかかる時間は30分程度です。一般的なオペレーションと比べて必要時間が短いという点での効率化が図れているほか、22時まで営業終了後、翌朝にすぐ取りまとめることができる仕組みになっていることは、マネジメントスタッフにとっても非常に助かっています。
▲AOAO SAPPORO内ショップ カフェ&バー
-チケットデータの分析、それを活かしたマーケティング等には取り組まれていますか?
(中山様)
主に2つの活用をしています。ひとつは月次や週次での来館状況振り返り、もうひとつは時間帯別での入館状況を常にリアルタイムで可視化できるようにしています。
購入~来館までのリードタイムがどれほどなのか、などを私個人の興味で調べるなどはしていますが、まだ本格的な購入者属性の分析や、それを活かした次の施策などは今後の検討課題です 。今後はデータの蓄積だけでなく、分析や活用などに積極的に取り組んでいきたいと思います。
-今後アソビュー社へ期待することを教えてください
(中山様)
開業してお客様にお越しいただくようになり、「どうやったらWEBでチケットが買えるの?」「日時変更をどうやったらできるの?」というように直接お声をいただくことが増えてきました。
施設にお越しいただく方、代表電話でお問合せをいただく方については状況を把握できますが、そのほかの場面でも、お客様が何をどう考えて、当施設のWEBチケットを購入されているのかを捉えて購入時の顧客満足度も向上させていきたいと考えています。他社様の事例などアソビュー社のナレッジを共有いただきながら、居心地のよい空間のすてきな体験を提供できる施設運営をともに成長させていければと思います。
(加藤様)
引き続き、柔軟に寄り添っていただきたいと思います。今回のチケットシステムは、各システムを自由に組み合わせてカスタマイズしたものです。今後はマーケティング施策に連動させるなど進化させていき、一緒に新しい挑戦をしていきたいと思っています。それらの挑戦を一緒に行い、アソビュー社でのナレッジとして他施設で展開し、日本のミュージアムやレジャー業界の底上げを一緒に行っていきたいと感じています。
お話を伺った方
株式会社 青々
企画担当 加藤郁理 様
企画担当 中山拓登 様
(※取材当時)