施設リニューアル後400%の来場人数を、最大35%増のスタッフ数で対応! 繁忙期でも待機列なしで混雑緩和を実現した、サンシャイン60展望台 てんぼうパーク様のDXとは?

ソリューション

東京・池袋にある「サンシャイン60展望台 てんぽうパーク」様では、2023年春のリニューアル時に電子チケットシステム「ウラカタチケット」と入場ゲートシステムを導入しました。リニューアル前に比べ4倍近くのお客様が訪れていますが、運営体制を大きく変えず、チケット購入や入場の行列なくスムーズに受入れを行っています。運営を担当する梅澤様に、取組みの背景や効果を伺いました。

今回のDXで実現した効果

BEFORE AFTER(※土日、繁忙期に限り)
  • チケット窓口での販売が8-9割近く
  • 繁忙期は最大1時間近くお待たせさせてしまい、結果顧客満足度の低下や機会損失につながってしまった
  • 来場が読めないため、スタッフのシフト管理にも苦戦した
  • WEB販売比率が8-9割に逆転
  • 集客はリニューアル前に比べ4倍(400%)以上だが、最大4ポストのスタッフ配置により、待機列や混雑なくスムーズに受付処理ができている
  • 上記集客にも関わらずスタッフは最大でも35%増員で対応できている
  • チケットの印刷費用の削減や、締め作業の短縮など副次的な効果も見えている

”365日、公園びより。”をコンセプトに生まれ変わったサンシャイン60展望台。 より多くのお客様が日常的に使ってもらえる場所へ。

―まずはじめに、今回23年4月にサンシャイン60展望台のコンセプトを”SKY CIRCUS”から”てんぼうパーク”へリニューアルした背景を教えていただけますか?

当初、サンシャイン60展望台は、観光客向けの展望台として運営しておりましたが、天候が悪い際はお客様が楽しめず、来場につながらない課題がありました。何かできないかとプロジェクトが立ち上がり、VRアトラクションやデジタルの展示物でいつでも楽しめる場所として”SKY CIRCUS”としてリニューアルしたのが2016年でした。VRアトラクション自体は、当時流行もあり、観光客だけでなく海外のお客様も楽しんでいただけることもありましたが、アトラクションの維持管理にコストがかかる課題がありました 。

コロナ禍になり、あらためて施設運営のあり方を見直そうということでプロジェクトチームが立ち上がりました。当社の強みは都内で唯一360°見渡せる展望施設で、埼玉県や千葉県の県境が見えるほど周りに高い建物がないロケーションです。そういった眺望による居心地の良さを大事にしたいと社内で話しあったことと、豊島区が住みやすい街づくりを実現するために区内の公園を改修していたことをヒントに、公園をコンセプトに我々もチャレンジしてみないかということになり、”てんぼうパーク”が生まれました。なので、今までの観光客が来る場所という形だけでなく、地域や近郊の方々が気兼ねなく何度も来れる場所づくりを目指しました。

 

―実際にリニューアルして4ヵ月が経過しましたが、客層の変化や集客の変化について、当初想定していた手ごたえを感じていますか?

はい、明確にお客様の客層の幅が広がったと手ごたえを感じております。例えば、”SKY CIRCUS”時代には平日の日中は団体でのお客様がいなかった場合、お客様が少なくとても静かな施設でしたが、リニューアル後は午前中にはママさん達がベビーカーを押しながら複数名でご来場され、日が沈むにあわせてカップルの方と客層が少しずつ変わり、皆さま思い思いの時間を過ごしてくださっています。そういった光景を見ると、まだ期間は少ししか経っていませんが、狙い通りの結果になったと思っています。

 

―本日、実際に施設へお邪魔させていただきましたが、エレベーター前で待つことはありませんでした。
今回のリニューアルにおいて、業務オペレーションやDXの観点でも意識した点はありましたか?当初の課題を教えてください。

当時は券売機はなくチケット窓口のみの販売で、2つレジを用意しているような状況でした。約8割から9割のお客様が当日券をお買いもとめいただいているため、チケット窓口での処理に時間がかかってしまうと、待機列が生まれエレベーターで人を展望台までご案内できない状態となっていました。そのため地下1階のエレベーターホールにも待機列が生まれてしまい、他のテナント様にご迷惑をおかけする事態となっていました。チケット窓口が混雑すると、エレベーターを昇ってから30分近くお待ちいただく場合があり、エレベーターの待ち列も含めると1時間近くお待たせしてしまうこともありました。
そんな状況だったので、地下1階でお待ちいただいているお客様に「最大で1時間はかかります」とご案内すると、当然ですが離れていってしまうお客様もいらっしゃり顧客満足の低下と機会損失につながっていました。リニューアルにあわせて、上記のような課題を解決したいと考えておりました。

集客人数4倍にも関わらず、混雑や待機列なしで入場手続きを実現。 スタッフの配置についても微増で今後オペレーションの見直しで生産性が最大化できる見通し。

―リニューアルでチケット窓口等においては、どのような変更を行いましたか?

今回のリニューアルで一番実現したかったことは、入場ゲートを設置し、すべての来場をQRコードで完結することで、事前にチケットをご購入いただいたお客様をお待たせしないことでした。これが結果として、当社のオペレーションの負担を減らすことにつながると考えたためです。そこで、入場ゲートを3台設置し、券売機を2台、レジを2台導入しました。

また、アソビュー社の電子チケットシステムで事前に購入したお客様が、お持ちになったQRコードで、そのまま入場できるように、導入したハードウェアとシステム連携をしていただきました。

 

―チケット窓口等の変更における効果はいかがですか?

以前は現地でのチケット購入が8割から9割でしたが、リニューアル後はWEBでの購入を原則としておすすめし、比率を逆転させることができました。実際に繁忙日においても、チケット窓口のレジは1台のみで対応していることが多かった印象です。
また、手ごたえを感じている点として、リニューアルの効果により初年度は昨年度の入場者数の4倍近い目標を設定していますが、オープン後2カ月半ですでに昨年度の入場者数を超えました。そんな状況のなか、現場は大変というわけでなく、スムーズに運営することができています。今まさにお盆の時期ですが、現地販売4口と事前販売でご案内ができている状況です。
フリー入場時、お客様の受け入れに何名必要か読みづらいところがあります。エレベーターホールでのご案内、当日券の購入案内と電子チケットをお持ちの方へのご案内と、最大4ポストを確保できていれば、お客様にご不快な思いをさせずに安心して受け入れできる体制を築けたことは大きな変化でした。

運営体制の観点では、リニューアル前と比べて、1時間あたりの受付可能人数が2倍以上となりました。現状を見ても、3倍程度までは問題なく受け入れできると想定しています。

まだリニューアルしたてということもあり、以前と比べて1日に配置しているスタッフの数は増えていますが、ある程度落ちついてきた段階で、配置するスタッフも精査し、より生産性をあげていきたいと考えています。具体的には、来場人数が減りはじめる時間帯には、入場口のスタッフや案内係を減らせるのではと検討をはじめています。

―今回、リニューアルにともない当社が主体となりチケット販売や受付の業務設計、ハードウェアのサポートをさせていただきました。ベンダー選定などで配慮したポイントはどのような点にありましたか?

当初はSKY CIRCUS時代からお付き合いのあったベンダーを含め全部で5社ぐらいに、販売したすべてのチケットにQRコードを付け、ゲートで入場できる理想の状態にできるかご相談させていただきました。
しかし、「全部を解決することが難しい」と回答いただいた企業や、私たちが想定していた予算を大幅に超えてしまうようなお見積りをいただくことがほとんどでした。
そんななか、アソビュー社に相談したところ「こういう形であれば解決できるかもしれない」とご提案いただいたのを覚えていますし、そこから当社の予算にあわせて最適なご提案とお見積りをいただくことができました。

 

―今回のソリューションは、理想に近い形で導入できましたか?

そうですね、今回のソリューションは、私たちの求めていたものに非常に近いものでした。

混雑緩和だけでなく締め作業の短縮や印刷コストの削減などコスト面の効果や、 来場予測によるシフト管理の精度向上などポジティブな効果が多数。

―今回、新しいオペレーションへの変更に伴い、混雑緩和以外に得られた効果はどのようなものがありますか?
 はい、いくつか嬉しい結果を出すことができました。1つ目は消耗品費の削減です。
冒頭でお話した通り元々は来場の9割近くが、当日に現地でチケットを買っていただいている状況でした。当社はチケットも思い出のひとつとして紙質にこだわっていたこともあり、施設運営において人件費の次に高い費目でした。時代も変化し、思い出は手元ではなくデジタルに残していくということで、今回思い切ってあくまで入場するためだけの紙に紙質を変更することで、1枚当たりの費用を10分の1近くに下げられました。また、電子チケットによる前売販売を推進することで印刷枚数も8割近く減らすことができたため、この費目の費用は数%レベルに削減することができました。

2つ目は締め作業の効率化です。当社は毎日必ず来場人数や売上を締める必要があるのですが、これに閉館後時間を使っていました。締め作業の際、今までは「当日券」「WEB前売券」「コンビニ前売券」の3つのチケットをそれぞれ閉館後、手作業で枚数を数え枚数の不備を確認していました。リニューアル後、QRコードでの一律の入場に変更できたことで、一括で集計が可能となり、締め作業の時間を30%近く削減することができました。

3つ目に、来場予測の見立ての精度があがり、現場のオペレーションがより円滑になったことです。これは今年の隅田川花火大会の日に起きたことなのですが、当社でも展望台から花火が見えるということを知る人は知っていたのですが、今回は当日の15時時点で18時以降の事前購入が多く入っていることが分かったため、事前にシフトの調整をして無事スムーズにお客様をお迎えすることができました。

このように、当初想定していた業務生産性向上による混雑緩和以外にも様々な効果がありました。

 

―ありがとうございます。最後に、今後アソビューとの取り組みで期待したいことはどのようなものがありますか?

WEB販売の比率が約8割まで増え、お客様のデータも増えてきています。コンセプトの通り公園のように地域の方々に何度も使っていただきたいと考えております。このあたりの効果測定やデータを活用したマーケティングを今後アソビューさんと一緒に実施していきたいと考えています。

 

―本日はお時間いただきありがとうございました。上記の期待を受け、ぜひ顧客の購買状況が把握できるウラカタ分析を活用し、マーケティングのサポートをさせていただければと思います。

お話を伺った方

株式会社サンシャインエンタプライズ
スカイコミュニケーション部 課長
梅原 貴志 様
(※取材当時)

ソリューションパートナー

株式会社Fujitaka