入場者数33万人の大規模イベントを公式チケットシステムとして支援。「東京ドーム」様に聞く、作業効率アップ&販路拡大成功の秘訣

ケース・スタディ

2023年1月、3年振りの開催となった東京ドームでの大規模イベント「ふるさと祭り東京」。ふるさと祭り東京を開催した「東京ドーム」様はチケットの販売先を整理し、今回初めて電子チケットシステム「ウラカタチケット」を採用。公式チケットとして活用し、33万人以上の入場者数を記録しました。
イベントでは運営を取り仕切る「シミズオクト」様の協力のもと、電子チケットによる現場の作業効率アップと人件費削減に成功。イベント制限があるなかでも一定の集客率は維持し、WEB購入での当日券の売上はコロナ以前と比べ150%に増加しています。
今回、開催者である東京ドームの森山様と現場運営を担当されているシミズオクトの芝辻様に、大規模イベントを無事開催できた裏側についてお話を伺いました。

10日間で約33万人が来場。プレイガイドに期待することは販路拡大と使いやすさ

ー「ふるさと祭り東京」の概要と、3年ぶりの開催となった今回の目標を教えてください
(東京ドーム 森山様)
「ふるさと祭り東京」は、日本全国各地のお祭りやご当地グルメが大集結した東京ドームの恒例イベントです。コロナ禍で一時中断していましたが、2023年の今回は3年ぶり、13回目の開催となりました。東京ドームでお祭りやグルメの一部を楽しんでもらい、これをきっかけに興味を持ったお祭りや地域に足を運んでもらうことを目標としています。
自治体の方も実際に旅行に来ていただくためのPRの場として期待を寄せてくださり、それぞれの出展者も実際にお店に来てもらいたい、地域に貢献したい、という想いでご参画いただいています。実際に東京ドームで「青森ねぶた祭」をご覧になり、現地の本祭の方に行った方がいらっしゃいます。また、出展者とお客様が友達になって現地へ遊びに行くことになった、という話も伺っており、ご好評いただいているイベントです。
今回は3年ぶりのイベント開催。新型コロナウイルスにより何年かは開催を断念したので、「原点回帰」とまでは言わずとも少しでも活気を取り戻し、日本全国を盛り上げていきたいというのが大きな目標でした。

ー当社の電子チケットシステム「ウラカタチケット」を導入するまでの経緯を教えてください
(東京ドーム 森山様)
イベントのスタート時は紙の入場チケットを使っていましたが、ほどなくして様々なプレイガイドでの販売を開始、各社の電子チケットを使い始めました。プレイガイドは宣伝・広報に強みを持つことから、各社でチケットを販売することで、イベントの認知向上を図りたいと考えていました。
これまでも同様の考えで販路拡大に取り組んでいましたが、次第に課題も見えてきました。オペレーションが煩雑になる、販売数が期待を下回るプレイガイドがある、など見直すべき課題がありました。
そのため、2023年はプレイガイドの数を絞ることにしました。重視したのは、現場運営にあたるシミズオクトさんの運用のしやすさ・負担を減らすという視点と、お客様が使いやすいかという点です。入場の端末を複数使わなくても済むように、可能な限り端末を減らそうしたところがチケットシステム選びの変遷です。
販路の拡大とともに入場体験の向上を目指すため、アソビュー!での販売もできる電子チケットシステム「ウラカタチケット」を導入しました。

取り扱う端末数を半分に削減。現場の処理スピードとスタッフへの教育時間短縮につながり効率化に成功

ー現場のオペレーションが煩雑であったとは、具体的にどういった課題があったのでしょうか
(シミズオクト 芝辻様)
これまで、1つのイベントで3~4つの入場読み取り端末を各社からお預かりしていました。端末ごとに操作パターンが異なり、スマートフォン上でチケットをもぎるもの、スタンプ状の機械をスマホ画面にタッチするもの、など入場受付ひとつでも様々。入場券の確認を行っているスタッフが首からそれぞれの端末をぶら下げ、このチケット会社のお客さんが来たらこの専用端末、というように、その場での判断と作業に時間がかかっていました。
イベント開始前にチケットもぎりの教育を行っていますが、スタッフへのレクチャーにも時間を要し、イベント会期前の準備として負担の比重が大きかったです。初日を迎えた段階では、30分以上、45分と時間をかけてレクチャーをした上で、開場を迎えるというような形です。日に日に練度は上がっていくのですが、初日は仕方ないものと考えています。
「ふるさと祭り東京」は9カ所ある回転扉が入口になっています。入場箇所が複数あるイベントの場合、多い時で9カ所すべての入口で1名ずつ、計9名が入場受付を行っているので、それだけ労力がかかっていました。

ー当社の電子チケットシステム導入によって負担は減りましたか
(シミズオクト 芝辻様)
今回プレイガイドも減らしたため、ゲートで使った端末は2種類だけでした。これまでの半分になったのでずいぶんと楽でした。ウラカタチケット経由で購入し、入場をされる方が圧倒的に多かったので、基本はアソビュー社の受付端末を携えて入場対応をすることにしていました。端末を複数首から下げて、都度どの端末なのか確認するという以前までの煩雑さはなかったと思います。

ー教育コストや時間の負荷は減りましたか。以前のオペレーションと比べてスムーズになった点を教えてください
(シミズオクト 芝辻様)
負担は下がっていると思います。スピードが求められる現場なので、入場処理1人に対してのスピードが上がれば、自然とそこに割くべき人員を調整できます。こういった積み重ねによって、少しずつ負担も削減できていると思います。
また、以前はイベント開催前にチケットレクチャーとして、チケットの受付=もぎり方法を各事業者から聞く必要がありました。当社の社員が、それぞれの会社から端末の使い方レクチャーを聞き、それをまた各現場に落としていくのです。今回は端末数が減ったことにより、こういった事前のチケットレクチャー時間が大幅削減できました。
さらに特徴的だったものは端末処理スピードです。チケットを提示いただいてから入場受付完了まで、とてもスムーズでした。1人にかける時間が秒単位でも速くなり、お客様1人1人を速やかに会場へと促すことができたと思います。他社のチケット端末もコンサート等で経験していますが、アソビューは処理速度が速くて、1件1件の読み込みのスピード感が高いと感じました。

2020年比で150%! 当日券は窓口よりもWEBでの購入が主流に

ー3年ぶりの大規模イベント「ふるさと祭り東京」の結果はどうでしたか
(東京ドーム 森山様)
例年のイベントの動員数は44万人程度でしたが、今年は約33万人でした。ただ、コロナの制限がある中でできる施策はすべて盛り込んだので、コロナ禍にしてはかなり成果が出たと思っています。
来場者が減っているため当日券による売上も減っていますが、アソビュー!を含むWEBでの当日券 売上金額でいうと、かなり伸びています。2020年比率で150%ほどです。お客様は当日でも、会場の窓口でチケットを買うのではなく、WEBで買うという運用にシフトしていることが分かります。WEBの方が現地購入よりも早い、買い方も簡単だ、ということが社会的にも浸透し、コロナ禍を経て電子チケットの方が買いやすくなったのかなと。その点、ウラカタチケットはお客様にも使いやすいシステムだったと思います。

ー現場での運用には一定の評価をいただいていますが、集客上でもサポートできていましたか
(東京ドーム 森山様)
はい、大きく貢献してもらいました。事業者ごとに扱うチケットの種類や金額も変わってくるので、単純比較は難しいのですが売れたチケット枚数・金額いずれもアソビュー社が最多でした。枚数は、他社とは桁が違っています。

混乱なく無事に開催できたイベント。安定したチケット環境でお客様からの不要な問い合わせが激減

ー当社のチケットシステムを利用されたお客様の反応はどうでしたか
(東京ドーム 森山様)
他社のチケットシステムでは、お客様が操作していく中で「これってどうやって買えばいいの?」「ネットでここまで入力したんだけど、ここから2枚買うにはどうしたらいいの?」というお電話を多々いただいていました。細かな操作方法については直接プレイガイドに問い合わせしていただくしかないのですが、アソビューのチケットシステムに変えたら、買い方が分からないといった、購入段階でのお問い合わせがありませんでした。
もちろん当日会場に来て操作して分からないことについての問い合わせはありましたが、アソビュー社はサポートセンターを設置していただいているので、東京ドーム事務局としては、その番号をお客様にお伝えするだけ。トラブルに対するアプローチという点でも、他社にない魅力があるのかなと思います。

ー今後のイベントの目標やアソビューに期待することを教えてください
(東京ドーム 森山様)
イベントの目標は、まず国内の動員をコロナ前同様に戻したいと思っています。また、訪日外国人の方にもお越しいただくよう注力したいです。日本の魅力を伝えるためには、国内の方だけではなく、訪日される海外のお客様にも会場にお越しいただく必要があります。イベントを知ってもらい、チケットを買ってもらう仕組み作りが課題です。

(シミズオクト 芝辻様)
今回のイベントを通じて、課題として挙げたい点は2点あります。
1つは、チケットの読み取り端末の稼働時間を増やすということです。チケットQRを読み込むために端末のカメラを起動し続けていると電池の消耗が早く、「ふるさと祭り東京」のような長時間イベントでは、ひっきりなしにお客様が入場されるので、充電をする時間が取れません。1回の充電で長時間稼働できるような端末にしていただくか、その分貸出端末の数を増やしていただける、など対応策があると入場口の担当者としてはありがたいです。
もう1つは、チケットの券面に関してです。今回は多岐にわたる券種があり、それぞれ金額も違うので、チケットを読み取った瞬間に端末のトップ画面で券種の違いが一目で分かると良いなと感じました。平日限定や前売りチケットなど、さまざまな券種をスピード感持って捌く必要があるので、端末画面をスクロールしなくてもトップ画面で完結できると嬉しいです。

(東京ドーム 森山様)
チケット販売をお願いする各社と振り返りを行う機会が実はなく、そういった機会を今後も持てたら嬉しいです。私たちとしても導入後の打ち合わせの機会はありがたく、シミズオクトさんを交えて今後も御社と一緒に頑張っていけたらいいなと思っています。徐々に改善を加え、よりイベントに即した形にもっていけたらと思っているので、来年もまた協力いただきたいです。

(シミズオクト 芝辻様)
新しいシステムの導入時はスタッフが不慣れであるために、問題の指摘・改善の声は上がると思います。ただ、そこは振り返りのお話しの中で、現場の声を伝えさせていただいて、また改善されていくことが自分たちにも返ってくると思っているので、有難いと思っています。

お話を伺った方

株式会社東京ドーム 興行企画部
森山 慧祐さん

株式会社シミズオクト 東京ドーム営業部部
芝辻 正哉さん