
年パス発行のデジタル化によって作業時間が80%減!施設運営のDX化が進む那須高原りんどう湖ファミリー牧場様に聞くデジタル変革の意義
ソリューション
[サマリー]
年パス電子化によって実現できたこと
①来園回数の個人単位のデータ蓄積が可能に
②チケット発行作業工数が80%削減
③年間パスポートでは有効期限の目視確認が不要に
アソビューでは2022年2月1日にレジャー施設向けの年間パスポート発行業務効率化機能をローンチしました。
プレスリリースはこちら。
大自然に囲まれたレジャー施設である「那須高原りんどう湖ファミリー牧場」様では、年間パスポートの電子化を開始し、データの見える化やオペレーション改革推進、チケット購入率アップの取り組みを進めています。電子化移行までの課題や経緯、そしてシステム導入後の施設運営の変化について、那須興業株式会社DX推進特命担当兼広報&ゲートグループ グループ長の千頭和仁様に伺いました。
永続的に売れ続ける仕組みづくりの一環として電子化へ移行
-年間パスポートの電子化を導入された経緯を教えてください
りんどう湖ファミリー牧場では、2022年3月から従来の「シーズンパス」から「年間パスポート」へ切り替えました。
シーズンパスは、年度で区切った期間限定パスで、購入日に関わらず、冬季休園期間(1月中旬から3月初旬休園)とともに有効期限が切れてしまいます。そのため、お客様の購入時期によって来園できる回数が変わってしまい、お得感が減ってしまうという課題があったんですね。
お客様にいつパスポートを買っていただいても、1年を通して入園とアトラクション乗り放題を何回でも楽しんで欲しいという気持ちと、永続的に売れ続ける仕組みづくりをしていきたいという考えがあったので、年間パスポートへ切り替えました。
システムを導入しマーケティングデータを集積。利用動向の分析を進める
-シーズンによる有効期限以外に従来のシステムに課題はありましたか?
もともとの運用方法として、お客様にホームページの申込フォームから必要事項を入力していただき、その後現地の入園窓口でお支払いしていただいてから、カードを発行してお渡しするという流れでやっていたのですが、その中で従来のシステムには3つの課題があったんです。
まず1つ目の課題は、お客様個人単位の来園回数が分からなかったことです。
データを集められなかった理由としては、従来のパスポートは大人や子ども、幼児の種別ごとにそれぞれ同じバーコードが印刷してあるだけで、来園時にチケットを読み取ってそのまま入園していただく流れでした。
大人が何人、子どもが何人入ったかというデータは集計できていたのですが、個人単位で1人のお客様が年間に何回来られているのか、その方は何月に来園しやすいのか等のデータは分からない状況に困っていたんです。
顧客を細かく知ることによりプロモーションが成り立つので、そういったマーケティングとして活用するためのデータを、会社として集める必要がありました。
今はまだアソビューを導入してから約2ヶ月なので、お客様個人単位での来園回数や時期、購入されたチケット種類などの傾向や数値が集まってきていないのですが、今後1年細かいデータを溜めて分析して、那須高原りんどう湖ファミリー牧場のマーケティングに活かしていきたいですね。
また、年間パスポートの認知を広げる必要もあるので、従来のパスポートとの明確な区別をお客様にしっかり届けて、お得に1年楽しんでもらえるプロモーションもかけていきたいと思います。
年パス発行作業時間80%減により、現場の工数負担軽減に
▲那須りんどう湖ファミリー牧場の年間パスポート電子チケット(サンプル)
-年間パスポートの電子化によって、オペレーションに変化はありましたか?
2つ目の課題である、チケット発行作業が大きな業務負担になっていたことが解決しました。
従来のパスポート発行は1日に平均何枚というよりは、季節でお申し込みが集中する状況でしたので、3月と4月に全体購入数の6〜7割のお申し込みがあり、購入のピークであるゴールデンウィーク前あたりには1日に何十件も発行対応が続き、かなりの業務圧迫になっていたんです。
発行に要する時間を計算してみると、これまで1枚のパスポートを発行するには入力作業を含め約10分かかっており、昨シーズンは約2000枚の販売数があったので、1年間で333時間を発行作業に使っていることが分かりました。
シーズンパスのカード発行作業が、スタッフの業務を圧迫していたというオペレーション側の大きな問題があったのですが、アソビュー導入後は1枚あたり約2分に短縮されました。
今後まだまだスピードが上がると思うのですが、カード発行作業時間が80%削減できたことはとても大きな業務改善でスタッフも喜んでいます。
-カードの発行作業時間が短縮された大きな理由はなんでしょうか?
申し込みフォームとプリントソフトの互換性ができたことが1番の理由だと思います。
従来は何が手間だったかと言いますと、お客様が情報を入力したり写真を貼り付けたりする申し込みフォームと、カード発行のためのプリンターソフトに互換性がなかったので、発行の度にお客様のデータを1件ずつ持ってきて、画像のサイズ調整を行ったり、フォームのCSVを貼り付けたるなど細かい作業が多く発生していました。
しかしアソビューでは、今まで使用していたプリンターやソフトを変えずに、販売データをソフトと連携できる仕様になっているので、管理画面からCSV形式で文字情報と画像データを一括ダウンロードできて、更にデータの読み込みもスムーズ、そしてまとめて印刷ができる点が大きな短縮に繋がったと思います。
パスポートのお申し込みが1つの時期に集中すると発行が滞ってしまい、かなりの残業時間が発生していたのですが、発行時間が80%削減できたことでスタッフの勤務時間削減にも成功しました。
-作業時間短縮以外に施設運営で変化はありましたか?
年パスに切り替えるにあたっての課題3つ目、パスポートの有効期限の目視確認が不要になったことでヒューマンエラーの撲滅ができたことです。
アソビューに相談する前は、有効期限をお客様が見逃してしまわないように、カード自体に大きく期限を印刷するか、それとも期限の月ごとに年パスカードの色を変える工夫をするか等、様々な策を考えたのですが、自分たちの力で解決しようとするとどれも手間がかかり過ぎるという問題がありました。
実際にアソビューの年パスを導入することによって、有効期限に関するチェックや管理が必要なくなり、年間パスポートの期限が切れている方は、カードを読み取った時に期限切れのエラーが出るので、万が一にもQRコードを失効されている方が入場するということも起こりえないのです。
やはり目視確認だとヒューマンエラーが発生してしまうので、以前はそのようなミスも起きていたのですが、導入したことでミスが起こらない仕組みづくりができて、作業工数や管理工数が発生しないことが、私たちとしてはとても運用がしやすくなりました。
スマホで完結する完全電子化への理想。効率化とコスト削減が他施設にも広がるといい
-今後アソビューに期待することはどのようなことですか?
今回電子年間パスポートを導入した結果、良いこと尽くめだと思っていてとても感謝していますが、更にここから発展させるとしたら、今度はカード自体をなくして携帯端末への電子化ですね。
スマートフォンで年間パスポートを購入して、スマホの画面を見せればそのまま入場できて、アトラクション利用時もスマホの提示のみで完結できる形になれば、カード発行作業自体もなくなり、お客様も手間がかからず気軽にお越しいただけるようになるのではと考えています。
もう1点お願いできると嬉しいのは、年間パスポートの期限が切れる前に自動アラートでお客様の方へ通知がいくシステムがあると良いです。
りんどう湖ファミリー牧場の方では、今後「継続割」のような割引を作って、年間パスポートが切れても一定の期間内であれば、お得に継続して購入できるような画面を作ってもらいたいですね。
更なる電子化は期待する点ではありますが、不正アクセス防止のような問題や、小さなお子さんなどスマホを持っていない世代への対応、課題はたくさんあると思いますが効率的に良くなりますし、本当の意味での電子化だと思ってます。
また、発行するための機械という導入コストや初期コスト、ランニングコストも減り様々な施設さんが実施しやすくなって、参画するテナント施設は恐らく増えてくると思うので、アソビューの開発力に期待しています。