WEBチケット販売比率が2%から最大40%に。デジタル化の推進によって変わるお客様体験を横浜・八景島シーパラダイス様に聞く

ソリューション

サマリー
①チケット販売のデジタル化の大幅な躍進は、
 日時指定チケット導入と施設内での体験プログラム予約販売によるもの
②WEBチケットの推進よって現場のオペレーション改善、お客様の施設内での体験が変わる
③データの蓄積によって、お客様資産の見える化が実現。コミュニケーションプランの立案に貢献。
④将来的には全てのチケット業務をデジタル化していきたい

施設敷地内に4つの水族館とアトラクション施設を有する横浜・八景島シーパラダイス様では2017年よりWEBチケットの取り組みを開始し、施設への入場券だけでなく体験プログラムのWEB販売にも取り組まれています。
約5年にわたる取り組みと、チケットのデジタル化によって見えてきた今後の展望を伺いました。

WEBチケット比率が2%から最大40%に大幅に飛躍


(▲吉澤様)
吉澤様
私はホテル業界出身なのですが、入社当初の2017年ごろは、宿泊や映画館なども事前予約が増えている中、当施設のWEBチケット比率は2%前後で、入社当時はとても不思議に感じていました。
複合型施設という特性もあり、来場者数に上限がなく、当日お越しいただければチケットが購入でき入場できるというものに加え、当時公式HPからチケットを購入できる導線もあったのですが離脱率が高い状態でした。
当施設は水族館やアトラクションなど複数の施設を有し、各施設内での予約制の有料体験プログラムなどがあるため、チケットの券種も多く複雑です。これらの多様な券種に可能なシステムを探していたところ、アソビューに出会いました。

鷲見様
アソビュー導入後、年々WEBチケット比率が高まっており、現在当施設では最大約40%のお客様がWEBチケットをご利用いただいています。
特にWEBチケット比率が高まった要因の1つに、コロナ禍の密集回避の一貫で日時指定チケットを導入したということがあります。時間当たりの来場者数を施設側で管理ができるためコロナ禍でもお客様にも安心してご利用いただけるようになっています。
また、施設内の体験型プログラムのチケット販売も徐々にデジタル化を進めていきました。
一気に全てのチケットをデジタル化すると現場ではオペレーションの変更が必要なため、最初は慎重でしたが、実際に導入してみると現場でのやりやすさを実感でき、現在ではほぼ全ての体験プログラムにてWEB事前予約を取り入れています

現場でのオペレーション改善の実感から現場主導に。テストマーケティングにもWEBチケットを活用

鷲見様
例えば、最初にWEB予約を取り入れたものの一つで、「イルカ・シロイルカとおよごう」という体験プログラムがあります。
このプログラムは、体験前に注意事項や同意書などの案内が必要なもので、これまでは体験前に口頭で説明を行い、紙にサインをいただく形で同意を得ていました。
それが事前にWEBで完了できることで体験時の説明工数が削減でき、現場のオペレーションが改善されました。
導入後、改善実感が感じられると、他のプログラムでも導入が相次ぎ、現在は数百円の低価格のプログラムの販売に加えて、新しく造成した体験プログラムのテストマーケティングのような位置付けでも販売をしています。新しい体験プログラムの実施は、以前は施設内で実際に飼育員などのスタッフがお客様を呼び込みしなくてはならなかったのですが、WEBチケットで販売する事で呼び込み業務をする必要もなくなり、スタッフの満足度としても上がりました。

WEBチケットの推進によってお客様の施設体験が変わり、満足度向上に繋がる


(▲澤井様)
澤井様
WEBチケットを推進していくことで、お客様の満足度向上と運営側のメリットの両方を実感しています。
まずお客様側についてですが、これまでの利用動向を分析したところ、開園から2時間で、1日の入館人数の約8割のお客様が来られていたことがわかりました。
ご家族連れのお客様の場合、多くはお父様が、開園直後に目当ての体験プログラム目がけて走っていかれて予約券を受け取っているのをよく見かけていました。それがWEBでの事前予約にしてからは、来場当日までに体験するプログラムがほぼ決まっているため開園直後に慌てて走ることもなく過ごしていただけるようになりました。
また、WEBチケットの購入データを見ると、繁忙期の体験プログラムは、実際の来場日の10日前には8割程が購入されている事 がわかりました。数量限定の体験プログラムの予約確定が当日の来場動機となり、充実した施設内での体験を提供できていると実感しています。
施設側にとっては、キャンセル機能によって、当時は1日に10件程度のキャンセル問い合わせが発生していました。アソビューの日時指定電子チケットでは、お客様ご自身でキャンセルをすることが可能で、前日までのキャンセルを可能にしたことで問い合わせがほぼゼロになりました。一方でキャンセルにより空きが発生したとしても、別のお客様が購入いただく事で売上はこれまでと変わらず維持できており、WEB販売によってプログラムの機会損失などを防ぐことができている事も大きなメリットだと感じています。

WEBチケットで獲得したデータにより、お客様の情報資産の見える化が実現。来場予測やコミュニケーションプランの立案に貢献。

吉澤様
WEBチケット比率が高まる事で大きな効果があったのが、前日までにあらかじめ来場予測ができるようになったことです。予測が立つことによって、当日のスタッフの配置や調整が可能になりました。また、チケットの購入から来場されるまでの期間をデータで知ることもできるため、イベントの販促などでコミュニケーションのタイミングを図ることができるようになりました。

澤井様
また、WEBチケットで獲得したデータを分析すると、商品ごとに、購入されるお客様の地域特性があることもわかりました。当施設は関東全域からお越しいただいておりますが、お子様向けのチケットは、特に近隣の、同一区内からお越しいただく傾向が強かったです。これについては一部予想をしていた部分でもあったのですが、比率が数字で出ると、驚く部分も多かったです。
お客様属性などの情報が見える化することで、お客様に関する解像度が高まりました
今後に関してはより精度の高いコミュニケーションプランの策定や、マーケティング施策を実行していくためにウラカタ分析の導入を検討しています。
ウラカタ分析の詳細はこちら

将来的にはWEBチケット比率50%越えを目指し、お客様体験の更なる向上を測りたい。最終的には完全無人化が野望。

吉澤様
当施設では、島内に複数の水族館やアトラクション施設を有しているため受付口も複数に跨ります。また、施設間を行き来できるチケットや、施設内での体験プログラムなど多岐にわたるチケットの種類があるという状況です。
このように多種多様なコンテンツを保有し、それに伴い多くのチケット種類を持つ弊社ですが、お客様体験を更に向上させるべく様々な展開をしていきたいと思っています。
これまでは、アソビューで事前購入したチケットをリストバンドや紙チケットに引き換えるというご案内をしていたのですが、まず手始めに、4つの水族館にチケットの引き換え不要で直接入場できる仕組みを作り、2022年2月から導入をしました。
さらに、施設が唯一お客様を囲い込みできるチケットとして年間パスポートの電子化についても現在検討しています。
※年間パスポートについての詳細はこちら
今後は水族館だけでなく、ワンデーパスやアトラクション施設の券売機での個別チケット等、全てのチケットの受付業務を完全無人化できたら理想です。

澤井様
特に券売機で販売している個別アトラクションチケットについてはメンテナンスや現金決済によるセキュリティコストなど課題が大きく、早急にWEBチケットによるデジタル化を進めたいと考えています。


(▲鷲見様)
鷲見様
施設内のホテルやレストランとも連携したWEBチケット販売をおこなっていきたいと思っています。
また近く公式アプリを作る予定もありますので、アプリからもチケット販売が行えるようにしていきたいです。
WEBチケットによって、分析できるメリットやオペレーションの負担が軽減されるメリットについてはこれまでの取り組みでよくわかっているので、引き続きWEBチケットに注力していき、数年後には50% にまで引き上げたいと思っています。
そうすることによって、来場されるお客様の体験やLTV(ライフタイムバリュー。ある顧客から生涯に渡って得られる利益)の向上が見込めるような取り組みを実施していけると思っています。

 

お話を伺った方
・吉澤 右耕 様:横浜八景島シーパラダイス アクアリゾーツ支配人
・澤井 俊佑 様:アクアリゾーツ サブリーダー
・鷲見 友貴 様:営業部 販売 サブリーダー