
アソビューの地域活性 vol.3 ~日南市地域振興課様・串間市商工観光スポーツランド推進課様~
ケース・スタディ
かつて”新婚旅行のメッカ”だった地域を、再び観光で稼げるまちに。 日南・串間地域連携DMO立ち上げ支援
アソビューでは、様々な地域とともに体験とITを活用した観光振興に取り組んでいます。これまで関わったエリアは150以上!地方創生の高まりを受け、ますます注目される、観光による地域活性。今回は、日南市地域振興課・串間市商工観光スポーツランド推進課様の事例をご紹介します。
<事業の背景>
地域の“稼ぐ力”を引き出す。観光地域づくりを狙ったDMOの設立
昭和40年代、宮崎県は「新婚旅行のメッカ」でした。なかでも、日南市・串間市地域は昭和37年に新婚間もない皇太子ご夫妻が訪れた風光明媚な日南海岸沿いに位置し、南国の草花が茂る心地のいいドライブルートが引かれるなど、日本中のカップルが憧れる新婚旅行の目的地だったといわれています。
近年は新婚旅行のトレンドが海外に移り、観光客は一時減少傾向となりますが、その後クルーズ船の呼び込みに力を入れたことで、日南・串間地域の来訪者は現在、増加傾向にあります。
一方、そうした来訪者の増加に対し、人口減少は進む一方。すなわち地域の生活を支える収入が減少していっている状況です。
そうした現状に両市は、「ここにしかない魅力」を観光客目線で改めて定義し、他地域と差別化された本質的な情報を発信することで、観光収入を増やし、ゆくゆくは移住・定住人口の増加にもつながる施策を打ちたいと考えました。そこで着目したのは、国が推進する地域の観光マネジメント/マーケティングを指揮する組織「DMO」でした。
地域の観光経営をビジネス観点で発展させる、地域のリーダーとなる組織を作る。そんな目標から、この事業は始まりました。
(DMOについてはこちらの記事もぜひ⇒アソビューの地域活性 vol.2 ~あまみ大島観光物産連盟様~)

<地域の課題>
地域の観光を経営視点で考える、DMO。…って、なんだ?
「観光を地域主導で、経営観点をもって牽引していける組織・仕組みを作りたい。そのためにDMOの設立をと考えました。減っていく人口を前に、観光を通して地域外から収入を得るのは喫緊の課題でしたから。しかし、地域内の誰もが「DMOって何だ?」という手探りでのスタート。一方で、必ず現状を打破するため、形だけの組織ではなく、地域・自社双方の収益の確保に向け自走できる組織にしたいという想いが強くありました。そのためにも、観光分野への知見と実践的な経営観点の双方を持った外部の目を入れたいと思い、事業パートナーを探しました。」(両市ご担当者様)
DMOはもともと、海外で生まれた観光振興組織です。従来の日本における観光振興組織とDMOが異なるのは、地域の観光に関する各種データの収集・分析、KPIの設定、PDCAサイクルの導入など、“観光地を経営する”科学的なアプローチを導入していること。定量・定性的な様々なデータを解析し、適切な観光振興戦略を立てるその機能には、まさに専門的なノウハウや、経営的な視点が必要でした。
事実、DMOの設立要件の中にも、データを解析する人員の確保や、経営観点を持ってDMOを運営する専任人材の登用が明記されています。つまり、DMOの設立とは、地域の観光をけん引する「新しい企業の立ち上げ」ととることもできるのです。
<成果>
ベンチャーだからこそできた、“経営”視点の立ち上げ支援
アソビューは2011年3月に創業しました。そこから約6年。遊び・レジャーのマーケットプレイス・asoview!を基軸に、着地型観光促進支援など様々なソリューションを提供しています。このスピード感と、その過程で経験した組織の立ち上げ・改編の経験はベンチャーならではの強みと言えます。
「3年間でDMOを「自走」させることに焦点を当てた企画提案内容と、遊びや体験メニューに関する企画・販売のノウハウがアソビューをパートナーとして選択した決め手になりました。地域にとって新しい組織を設立するにあたり、組織の立ち上げに関する生きた知識と経営観点での実施施策、DMOが自走する基盤として有力視される着地型観光商品の先進事例の知見は、DMOの立ち上げから自走までに大いに参考になると考えたからです」
実際、事業を進める過程では他のDMOや民間の観光関連企業の先進地への視察を通して地域の皆様と共通のヴィジョンを設定したり、他地域の成功事例をフレームに従って分解し、本事業にフィードバックするなど、企業経営において実践されている手法を数多く取り入れながら、合意形成の場を運営していきました。
その結果、地域の意思決定フローの設計・地域資源の棚卸・DMOの担い手の選定&巻き込み・地域のターゲット&コンセプト策定・持続可能な収益事業案といったDMO設立に必要な要件を整理。「3年間で自走可能なDMO組織を立ち上げる」というスピード感を持ったプロジェクトにおいて、最初の関門であるDMO法人候補登録が無事初年度に完了しました。
<これから>
自走できる組織へ。市場の目線を取り入れたアドバイスを
いよいよ立ち上がったDMO。しかし、本当に組織が自走していけるかはこれからの事業計画にかかっています。
「3ヵ年事業としてスタートした初年度の組織づくりは順調に進み、いよいよ平成29年9月にDMOが設立されます。実際の活動はこれからであり、事業者のみなさんや地域住民の皆さんを上手く巻き込んでいけるかが鍵となります。
今後、DMOを中心に体験メニュー等の商品開発・情報発信等を行っていくことになりますが、ここはアソビューの得意分野。商品造成のノウハウについて先導頂くともに、マーケティング・マネジメントの分野についてもDMO組織の自走を加速させられるように支援頂きたいと思います。」
日本の観光の今後を大きく担っていくDMO。アソビューではITベンチャーならではのスピード感と知見、そして様々なサービスによって、その活動をこれからも支援していきます。